また一人、変態がいた。

食べ歩き ,

また一人、変態がいた。
「最初の握りを46度Cのシャリで、お出ししたいのです」
39歳の寿司職人、難波仁将さんは言った。
それは「開店時間は何時ですか?」という質問の答えだった。
「一旦家に帰って、玄米から精米し、炊いてからシャリ切りをし、あおがないで自然に冷まし。お客様がつまみをちょうど食べ終わった頃に最適の時間にしたい。そのため、予約をいただいた時間から逆算します」。
使うのは、山口県の棚田の古古米で、単に土地が狭いから棚田なのか、日当たりが良いから棚田なのか、産地まで見にいったという。
当然魚類も厳選している。
「サワラはないの?」と聞くと、「用意しようと思ったのですが、市場で今日はお前のとこに卸せるようなサワラは入ってないといわれました」。
去年の9月開店だというのに、早くも質が極めて高くないと仕入れないという姿勢が理解されている。な
仕入れは、下関の市場だけでなく、小倉や福岡にも足を伸ばす。
現在店は不定休であるが、無休に近い。
それは「予約をいただければ、必ず店は開けます。休みません。ただここ2週間は、予約はいただいていないので、休んでますが(笑)」。
目標は明確て、もっとやりたいこともあるが、一人でやっているので、限界もある。
寿司は、まだまだなこともある。
でも彼は、きっと花を咲かすだろう。
変態の片鱗から成長を遂げるだろう。
そして桜のように満開して、人々を魅了する寿司屋になるだろう。
下関「鮨 桜鱗」にて。