お金を使うなら、ドブにすてるように使わなくてはいけない。
その信念の元につくられた邸宅は、今、静かに眠っている。
有田の町を望みながら、ひっそりと息づいている。
庭の木々の配置も、大きさも、精妙に計算されて、裏山と馴染むように見せているのだが、自我がない。
日本建築の美学の忰をこらした家屋もしっとりと自然に溶け込んでいる。
有田焼の銘器が飾られているのだが、これまた空気に溶け込んでいる。
だが気品に満ちた邸宅には精気がない。
家は人が住んでこそ輝く。
ここで暮らしたい。朝を昼を夜を過ごしたい。

ここに泊まりたい人。