冒頭、自動車の運転が上手くいかないようになった主人公が、イラつくシーンが出てくる。
92歳の彼女は家に帰りノートを開く。
そして「運転ができなくなる」という項目を線で取り消す。
その上には、「階段が登れなくなった」「重い荷物が持てない」「一人で入浴ができない」という項目が消されている。
「92歳おめでとう! 100歳まであと少し」と、家族が集まった誕生日会で彼女は宣言する。
「みんな今まで本当にありがとう。幸せな人生よ。だから決めたの。今から2ヶ月後10月12日に私は逝きます」。
息子も娘も孫も受け入れられない。なんで死ぬのかと尋ねる。
「だんだん自分のことが自分でできなくなった。あなたたちには迷惑がかけられない」。
息子は激怒する。
「本当は老いるのが怖くて死にたいんだろ。勇気どころか、うぬぼれだ」。
そしてトイレで倒れ、入院をする。点滴を受け、寝たきりの生活が続く。
見舞いに来た娘にガウンをまくり、オムツを見せていう。
「病院のベットで死ぬなんてごめんだわ。私は最後まで自分のやり方で生きる」。
娘はそのまま母を車椅子に乗せ、無理やり退院する。
母は、帰りの車の中で嬉しそうに笑いながらいう。
「太りそうなものが食べたい。カキ、サーモン、オマールにキャビア。そし高いシャンパン!」
日にちが近づいてくる。10/12が迫ってくる。
娘は初恋の人がいて、今でも文通していることを知り、一緒に会いに行く。
いよいよ当日となった。
息子はまだ受けいれることができなく、電話すらできない。
孫は、オーストリアで一旗あげる計画をやめてサヨナラをいうために残る。
娘は、「私はママの何が好きかというと、信念を曲げないことよ」と言って受け入れるのだが、眠れない日が続いている。
最後は電話だ。
「ありがとう。オーボワール」。
自ら命を絶つことは許されない。
しかししかし彼女は十二分に生きてきた。
自らの尊厳を守るため、永遠に向かって旅立つことを止める権利は、誰にもない。
この映画は、フランス元首相の母の実話だという