ベーカーバウンズは住宅街の中でぽつねんとたたずむ店である。
入り口横にはなぜかドラム缶、店内は、古いアメリカのポスター、ブリキのおもちゃ、アルミの灰皿やコークの刻印入り紙ナプキン、流れる60’sUSAヒットチューンと、アメリカの古きよきダイナーの雰囲気であふれている。
お奨めはベーコンエッグバーガー。
注文を入れると店主が、炭火のグリルでパテを焼き始める。
グリル網をこまめに上下させ、肉汁を逃さず焼こうとしている様子で、只者ではないと思っていると、やがていい香りが胃袋をくすぐり始め、迫力あるハンバーガが運ばれる。
まずはなにもかけずに、両手で慎重に持ち、口をあんぐりとあけてほおばれば、なによりもパテの魅力に顔が崩れる。
ひき肉がごろごろと粗く、かみ締める喜びがあって、噛むごとに煉り肉ならではのうまみがにじみ出てくる。
聞けば毎朝、赤身肉を手切りにてミンチされているのだそうだ。
この力強いパテにすかさずパンチを浴びせかけるのが、ベーコン。
やや厚切りにされたベーコンは燻製の香り強く、塩に負けない脂の甘みがある。
これが店前のドラム缶にて燻製にされたベーコンなのである。
パテとベーコンが四つに組み、たまねぎ、レタス、トマト、ピクルスの食感がアクセントし、気分は上々。
添えられるフライドポテトもカリッと軽快な音を立て気分を盛り立てる。
細心の思いが込められた、人をとりこにする傑作ハンバーガーである。
ベーコンバーガー千五十円 「ベーカーバウンズ」 世田谷区太子堂5-13-5
11~15:30 17:30~22:30 日祝は~21:30 火曜