10数年前の京都である。

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10数年前の京都である。
桜開花寸前の日曜日、四条南の鴨川は、人もまばらで、うらうらに春が近づいていた。
昔の京都が戻ってきたと、のんきに喜ぶわけにはいかないが、こんなにのんびりとした光景を、懐かしく思う。
おそらく今週中に開花する。
今こそ京都に出かけ、古都の静かな春に浸かるチャンスである。
日帰りでもいいだろう。
おそらく、こんな光景は、もう僕が生きている間は見ることはできないのだから。
夜の花見小路もひっそとして、い、昔はこんなだったなあと、懐かしむ。
そして下は、ホテルの朝食である。
プラスチックの容器に、おかずが詰め込まれ、小鉢は、ラップされて並んでいる。
その光景には、同じ料理ながら、鴨川とは別の静けさがあった。
精気がないのである。
所狭しとお盆に乗せても、一見ゴーカそうだか、どこかうら寂しい。
食欲がわかない。
トングでとる方式は、さけたが、やはり味噌汁と薬味のネギだけは、どうすることも出来なかったらしく、全員が同じトング、同じオタマでよそう。
それがどうにも、可笑しくてたまらなかった。