余呉「徳山鮨」

<男たちの危険な遊び>

食べ歩き ,

<男たちの危険な遊び>
夜のとばりが降り始める頃、男たちは動き出した。
まずは「シシかつ」である。
浅草「すぎ田」の佐藤さんが揚げた、イノシシのかつである。
市販のパン粉、白絞油ながら、イノシシの優しさを生かして、なんともうまい。
次は、ピッツァである。
岐阜「川原町泉屋」、日本一の鮎焼き名人泉さんがピザ窯で焼いたピッツァである。
生地の素晴らしさもさることながら、身たたきを散らしているので、これは大変危険なピッツァなのであった。
何が危険かといえば、食べた瞬間に酒がグイグイと飲みたくなる危うさである。
次に岐阜「ファンボギ」の高橋さんが今朝採れたというキジをさばき始めた。
まだ体温の残るキジの毛を優しくむしり、切っていく。
それを焼くのは、鳥焼き名人、バードランドの和田さんである。
キジの穏やかな滋味からたくましさを引き出すは、さすが。
一心不乱で、むしゃぶり食いました。
次に「ラフィナージュ」高良シェフが、牛肉を、鴨を、イノシシを焼き始めた。
これまたいけません
鴨はその場で作った焼肉のたれをからめ、イノシシは魚醤を塗って焼くのだから、あまつさえ危ない。
見事なキュイソンで仕上げた肉類を、男たちは競って食べるのでした。
次に熊が出ました。
これは名物のしゃぶしゃぶですが、今夜はいつものすっぽんスープとは違うらしい。
謎の深く優しいスープにくぐらせた熊は、柔和な味わいで、微笑みかけられているような慈愛がある。
これまた箸が止まりません。