<朝からまずい話で、ごめんなさいシリーズVol6>

日記 ,

<朝からまずい話で、ごめんなさいシリーズVol6>
「まずい食材はない。まずい料理があるだけだ」。
ミッシェル・サラゲッタは、テレビドラマ「王様のレストラン」の冒頭で、こうのたまわれていた。
「おいしいものは、精神を豊かにし、まずいものは、精神を太くする」。古き格言。詠み人知らず。
「お前ら、せいぜいまずいものを食って長生きしろ」。尾崎紅葉の遺言。
「僕は久しぶりに出合った、本物のまずさのおかげでずっとニコニコしていた」。日本まずいもの同好会会長、中島らも。
「人間が人間として成長するためには、まずいものを食べなくてはいけない」。嵐山光三郎。
どうやら人間は誰しも(やんごとなき方々は知りませんが)、人生において「まずい」に出会い、なんらかの影響を及ばされるようなのである。
しかも世間では一言で「まずい」というが、実はまずいにも分類があるのだ。
まず、一口で食べられなくなっちゃう、「破壊的マズ」。
食べていくうちに次第に気分が悪くなる、「マズジャブ」。
さらに、気持ちはすさむが、「まあ、がんばって食べるか」という、なんとか我慢が出来る、「ちょいマズ」。
世の中には、この三段階の「まずい」がある。
破壊とジャブは、希少なまずさであり、精神を痛めるものでもあるから、話のネタとしてはいいが、お会いしない方が幸せである。
しかし精神を太くし、成長を促す、「ちょいマズ」は、可能な限り出会った方がいい。
例えば、ペプシ・アイスキューカンバー。
胡瓜自体は清涼なれど、清涼飲料水とは無縁だと、誰かが教えてやらなかったのだろうかと考える。
例えば機内食の鳥料理。
いかに鳥から滋味を奪取し、濃い味のソースで補うかという、調理の基本を教え、それを手持ちの調味料やレモンや酒で、どう蘇らせるかという難題を提示する。
まだまだある。
嫌いな部下に連れて行かれた居酒屋。
函館の正油ラーメンキャラメル。
失恋した日に一人で飲む、ぬるいビール。
旅館で出される、固形燃料で温める小鍋。
焦げたデミグラスソース。
二時間以上放置された、マックのフライドポテト。
来意夢来人とか、奴里意夢とか、英語名に漢字を当てた飲食店の料理。
食事途中で財布に金がないことを気付き、カードが使えるかも分からないときの料理。
ハンバーグにのった目玉焼きの白身が、半熟だった時。
いやな上司に説教されながら、お酌される燗酒。
口の中を切ってしまいそうなほど堅い衣を持つ、唐揚。
白菜ばかりの五目焼きそば。
風邪をひいたときに食べる、刺身。
ぬるい水餃子。
しゃぶしゃぶ食べ放題のおかわり肉。
ビジネスホテルの朝食バイキングでの、蒸して冷えた塩鮭。
脱脂粉乳。
ハギス。
おかまのすし屋。
やたら怖い寿司屋の親父が握る鮨。
酢飯にカレー。
虫歯がうずくときの鶏のもも焼き
以下次号。