高松市郊外の田んぼの中に

食べ歩き ,

その店は、高松市郊外の田んぼの中にあった。
座ると、「立って、テーブルから少し離れていただけますか」という。
するとスタッフが慎重な手つきで、机にサランラップを敷き詰めた。
「皿という概念を壊したかったのです」。
シェフはそういうと、ソースで絵を描き、花が飾られ、アスパラガスの穂先、トマト、苺が散らされ、ドライアイスを入れた器が置かれる。
香草入りマヨネーズソースは、美しいほど滑らかで、香草の微かな辛味や苦みを含みながら香りよく、味の切れがいい。
うま味は強いのに、消え方がスムーズゆえ、質の高いトマトやアスパラ、苺の香りの余韻だけが残る。
簡素な料理の中に、真実の味を引き出すテクニックが秘められている。
店といっても、ここはレストランではない。
たった5人だけが鑑賞することが出来る、ハイブリッド・コンテンポラリー・フード・ギャラリーであるという。
これから3時間半、16皿の料理の開始である。