駅弁勝負 第80回

駅弁 ,

駅弁勝負 第87回
6時38分京都発の新幹線に乗った。
朝イチの新幹線は、サラリーマンばかりである。
席に座るなり、パソコンを開け、仕事をされている。
隣は50代、パソコン見ながらおにぎりを頬張り、缶コーヒーを飲む。
一刻も惜しんで仕事しなくてはならないのはわかる。
でもおにぎりに缶コーヒーは合わんのではないでしょうか。
その隣の40代中盤の男性は、ミックスサンド頬張りながら仕事している。しかし飲んでいるのは十六茶である。
いいもの16種類入りで体に気を使ったのね。でもね、サンドイッチとは合わないよ。
隣の人と交換したらちょうどよかったのにね。
これは今日も勝利だと思った。
実は不安だったのである。
売店は630からしか開かないので、開店早々に滑り込み、即断即決で買ったが、朝イチのため、選択肢が少ない。
選んだのは「太秦のり弁」で、これなら無難だろうという判断だった。
包みを解くと現れたおしぼりがいい。
切符をデザインしたもので、たかがお絞りにも旅情を感じさせる印刷するなんて、憎いねえ。
嬉しくなって食べ始めた。
蓮根きんぴらは胡麻の香り高くいい。塩鮭や白魚フライも、ちくわ天ぷらもまぁいい。
しかしながら、ご飯がいけません。
おそらく糖質制限の人への配慮だろう。
バラバラに凍えたご飯で、わざと食べ進めないようにしている。
出汁巻き玉子は、舌の感覚を鋭敏に鍛えるように、出汁の味も卵の味もない。
その出汁巻き玉子は極薄なのに関わらず、隣の麩田楽はすごく分厚い。
作者は、お麩が好物だったか、麩屋の回し者に違いない。
さらに箸は短く、指の筋肉強化を図ってくれる。
柴漬けは、そのまま入れればいいのだが、おそらく仕事をしているところを上司に認めてもらいたかったのだろう。
胡麻油炒めという、不可解な行動に出てしまっている。
鰹節は、ご飯が進むように甘辛に炒めてあるが、受け止めるご飯が肩透かし状態である。
ボールを投げても、後逸ばかりしてしまう。
わびしい。
きっと作った人は、人生の無常を味わって欲しかったのだろう。
まあ昨夜から放置されていたのだから、しょうがないよね。
今度は違う時間に買ってあげるね。
急に横でおにぎりを頬張るサラリーマンが、羨ましくなってきた。
ということで、今朝は敗北である。
太秦「のり弁」870円 穂久杉
ご飯 0おかず 1 価格2
箸1特記 郷土色か個性点ノスタルジー
総計4点(紅鮭塩焼き1ちくわ天ぷら1白身魚フライ1揚麩田楽1出汁巻き玉子0蓮根きんぴら2 柴漬け胡麻油炒め1 鰹節甘辛炒め 海苔)