食らう

食べ歩き ,

羊肉は「食べる」ではなく、「食らう」といきたい。

食らっているうちに、気分が猛々しくなって、

食欲が焚きつけられる。

羊はそんな肉だ。

優しさもあるが、頑固な主張もする。

そしてなにより香りが素晴らしい。

仔羊の穏やかに漂う香り。

食べてみろと挑んでくる、羊のたくましい香り。

香りを生かした料理が好きだ。

噛み締めるたびに湧き出る香りを享受していると、

じわりと羊に敬意を抱き、

理性では制御できない、人間の業が目覚めてくる。