名古屋「得仙」

鍋の極意。

食べ歩き ,

久々に「得仙」に誘われ出かけた。

予約できるのは年一回のみで、最低10年はその日を予約し続けなくてはならず、その常連が退席(退会?)するまで、席はないという店である。

5年ぶりに行くと以前は気づかなかったことが、あった。

1、9月のアンコウは最もうまい。

  冬が旬と思われているアンコウだが、9月のアンコウは身に旨味がある。さらに肝はざらつき感が微塵もなく、クリーミーである。

2、アルバイトの若い女性陣の所作が美しい。

  畳の継ぎ目はまたぎ、姿勢も整っている。例えば、おしんこを出すときでさえ、お茶の作法のように所作が決まっている。お新香は胡瓜のぬか漬け(これがうまい!)と、キャベツの浅漬けだが、キュウリが正面のため、いったん自分の左掌に正面を向けて取り、お客様の座る位置に合わせて正面を向け、スッと右手で差し出す。

鍋に具材を投入する時も美しい。例えば伊勢海老は、まず殻類を入れ、それから胴体、最後にミソのついた頭を入れるのだが、胴体で台を組んでおき、頭は鍋つゆから出るように置き、海老ミソが鍋に混入せぬようかつ、見た目を艶やかににしている。

鴨のつくねを入れる時も美しい、細長く整えた半分に縦に切り込みを箸で入れてから投入するのだが、それぞれ均等に入れ半分入れ終わったら、箸先にこびりついたつくねのカケラを残った半分でぬぐい、さらに鍋に箸先を突っ込んでしばらく浸す。次に豆腐やしんじょうを箸で掴むため、生ものをつかんだ箸を一瞬きれいにするためである。その他にも多く決められていることがある。

3、ネギが美味しい。

柔らかく、ネギの香りが高く、おねばが少ないので、中から芯がぴゅっと出てこない。聞けば、越津ネギという愛知の品種ネギを使われているのだという。

4、最後の雑炊でわかる、鍋の出来。

昨夜は、三人、三人、四人という席だった。最後に各卓の雑炊を食べ比べたが、四人席が断

然美味しかった。

一瞬、鍋奉行協会会長である私に鍋が配慮したのかと思ったが、そうではない。

おそらくこの鍋だけ、4人分の具材を入れたからだろう。

たった一人分の具を多くしただけで、これだけ味の出方が違うのかと、驚いた次第である。

なにせ訪れても、前が一年前だから忘れている。今回は備忘録として記す。

注意、以前と違って撮影禁止になった。写真は、まだ写真撮影が許されていた頃の写真である。