荻窪「有いち」

日記 ,

荻窪「有いち」。
変わらずいい店だ。今都心では若い店主が次々と割烹店を出しているが、彼も30代。
しかし、味のわきまえ方。引き方の塩梅が図抜けている。
「インゲンと牛蒡の胡桃和え」。地味な皿だ。しかしひとたび食べると、胡桃の香りの高さと品の良さに驚かされる。
胡桃を、丹念に、時間をかけてあたった結実である。
そこに、茹で置きではないインゲンのみずみずしさと牛蒡の土臭さが加わり、一つの宇宙が出来上がる。
同寸に揃えられた牛蒡やインゲンの口当たりも良く、さりげない小鉢に注がれた誠実に、心が緩む。
こういう料理こそ「仕事がしてある」というのだろう