茹で卵という料理
茹で卵ということで思い出されるのは、「瓢亭」の朝粥だろう。
真二つに斬られた半熟の卵が皿に鎮座している。
お話を聞いたことがある。
50個は入る大鍋に卵をびっしりと詰め込んで、水を注ぎ火にかける。
沸騰まで3分間。
手で卵を回してゆく。
最後はかなり熱いが、めげずに回していく。
湯それから正確に時間を測り、茹で上がったら、氷水に落とす。
次に素早く、スプーンの背で卵全体にヒビを入れていく。
ただしスナップをきかせると卵に傷がつくので、慎重に優しくヒビを均等に入れていくのだという。
そして剥くのだが、その時もむいた殻が白身に刺さらないように気を配る。
半分ん生きるのは包丁で、、白身は引き切りで君に達したら押し切りにし、白身でまた引き切りにする。
そうして座りがいいように両端を切って完成するが、こうして気を配っても、2割は真ん中にきれいに卵が寄っていなかったり、茹でてる途中でヒビが入ったりと使えないという。
だから毎日まかないで卵ばかりを、大量に食べるのだという。
老練な職人がたまにやると時間を図らなくとも、見事な半熟にしあがっている。
茹で卵一つにしても料理の奥義は深い。
今朝はその思いで作った。
沸騰寸前に卵を入れ、お玉で2分ほど転がし、沸騰後5分で火を止め、3分半置いてから冷水に落とした。
慎重に殻をむく。
半熟具合は問題ない。
でも真ん中に寄ってない。
切り口もみすぼらしい。
これは失敗だな。
完璧への遠い道のりに、ため息を吐いた。
茹で卵という料理
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