茹でたてのカニは、美味いでんな.

シメご飯 , 食べ歩き ,

「茹でたてのカニは、美味いでんな」。
「ここまできた甲斐がありましたね」と、二人のおじさんが会話をしている。
肉の神様も加わって、カニを頬張り、食った、食った。
ここは京丹後、魚問屋「魚政」の倉庫である。
ただカニを食べるだけではない。
「魚政」ご主人から、カニの詳しい話を聞きながら食べる。
まずはセイコガニからいく。
二杯あるが、奥の薄らと黒味がかったのを「焼」と呼ぶのだという。
せいこは秋に産卵するが、2~3回産んでいる熟女で、手前の腹が白い方は、まだ産卵しておらず、脱皮してから時間が経ってないのできれいなのであった。
「つまり経産と未経産ですな」と、つい牛に例えてしまう。
「焼」の方が外子も内子も多く、字が若干濃い。
続いて、オスの松葉蟹と行く前に、刺身をいただいた。
生のままといったん冷凍したものである。
不思議なことに、いったん冷凍した方が、甘みが強い。
続いて、茹でる場所へ案内された。
何匹も茹でていくが、わざと小さい釜で茹でていく。
茹で上がると、ホースで水をかける。
「茹でて、水に漬けるところが多いですが、それだと水漬臭くなってしまうので、うちはこのやり方をしています」とのことである。
ついに茹で松葉蟹が登場した。
一同、無言のまましゃぶりつく。
カニのエキスが口からぼたぼたと垂れる中、深海が生んだ透明な甘みを、受け取った。
食べながら谷次社長がカニの生態を説明してくれる。
「蟹は一度の温度でしか生きられません。日本海は南に対馬と本土、北は、樺太とユーラシア大陸といった、入り口と出口が狭いため、海流が荒れず、温度が保たれるのです。ですから色々なブランドのカニが重宝されますが、日本海のカニの味は全く変わりません」。
「蟹は、ひとでや貝 魚の死骸などを食べ、15年間で1.2キロくらいになります、この辺りがミリ版美味しいカニに当たる確率が高い。一方「極」など1.5キロ以上の蟹は、確率が低くなる」。
「松葉蟹を食べ始めた歴史は意外と浅く、昭和からです」。
蟹はメスは2~300m、オスは400mの泥地の海底にいます。たまにメスのところにオスがいる場合がありますが、そいつはスケベですね。泥地で地盤が緩いため、バランスを取るために足が長くなるのです。また網で一網打尽にしているイメージがありますが、何しと400mですから、東京タワーの上から網をかけて空き缶を拾うようなもので、確率は高くない」。
こんな話を聞きながら蟹をむしゃぶり食う。
こりゃ世界一楽しいカニ喰いでしょう。
最後は雑炊で「蟹雑炊は、セイコを入れなくてはいけない」と、内子や外子をたっぷり入れた、濃密な雑炊でしめたのでありました