肉が「もっと噛め」と囁いてくる。

食べ歩き ,

鶏肉は肉である。
普段あまり意識をしない、当たり前の真実を、まざまざと知らされた日だった。
遠く海を見下ろす小田原の『OSADA FARM』で、しめたての鶏を食べるBBQを行った。
通常飼育の鶏肉と500日飼った親鳥の食べ比べある。
親鳥は、よく運動をしてきた証に、肉に赤みが刺している。
里葉亭ご主人が刺してくれた焼き鳥を食べる。
噛む。噛む。噛む。
肉が「もっと噛め」と囁いてくる。
これぞ肉を食らう醍醐味である。
噛むほど滋味が湧き出し、噛むほどに我々の血が湧くのだ。
これが命を食らう喜びであり、コーフンなのだ。
肉を噛みながら、あたりの空気を吸い込んで、ワインを飲む。
マリアージュという言葉は、このためにある。