繊細で緻密、詩的でモダン、前衛と古典

アンリ・ルルーのショコラを食べると、さすがドミニク・ペローやジャン・ヌーヴェルなどの現代建築家を、多く輩出した国だと思う。
繊細で緻密、詩的でモダン、前衛と古典の折り合いをつけ、近代的でありながら自然との共生を意識している。
これは「Tatin」と名付けられた品。
三種のリンゴを塩バターでキャラメリゼしたものと、林檎のブランデーとリンゴジュースを合わせた、ポモー・ブルターニュを混ぜたガナッシュ。
完成まで一年をかけたというそれは、下のリンゴカラメリゼが4mm、上のガナッシュが8mmと緻密に構築されている。
3mmでは林檎の味が出ないのだそうだ。
口にするとまず、ショコラの甘みと香り、ほのかなポモーの香りがゆっくり溶けていく。
その刹那、林檎の酸味と香りが立ち上がる。
ブルターニュの大地への敬意が舌に染みていく。
理論的で実直、一徹な、職人の匂いがするショコラでもある。
その他栗を使った、作成に三日をかける「Turin Lait」
日本での思い出を再現し、作成に四日かけた「Goma」。
攻撃的で妖艶な、心の鼓動を高める、トリュフ入りの「Truffe de Truffe」など、独特の魅惑がめくるめく。