素早く回すだけです

食べ歩き ,

「素早く回すだけです」。
どうやって作るのかと聞くと、「企業秘密です」と言いながらも、長崎「一二三亭」の板前さんは、優しく教えてくれた。
なにしろここの雑炊は、卵がふわふわになりながら、ムラがない。
米一粒一粒と抱き合いながら、その甘みをゆっくり舌の上で膨らます。
わずかに入ったごま油のアクセントが効いていて、卵と米の優しさにたくましさを投げかける。
そしてなによりお米の具合が素晴らしい。
出汁というぬるま湯に長く浸かって、心身ともにほぐれましたというくつろぎ方をしている。
わずかに米粒の存在感を残しながら出汁を吸って膨らんで、柔らかい。
その加熱具合こそが、この店の名物となった魅力なのだ。

長崎美食怒涛の報告シリーズVol1