<駅弁勝負> 第13番 紅葉の時期 新大阪から東京に向かう

駅弁 ,

紅葉の時期、新大阪から東京に向かう時は、左側(E席)に座るに限る。
京都を過ぎて10分も走ると、左側に高揚の山や小山が現れる。
そこでおもむろに弁当を開くのである。
今回は、大阪限定「なにわ満載」JR東海パッセンジャーサービス製とした。
八角形の形は、今は無き水了軒の傑作「八角弁当」へのオマージュか。はたまたぱくりか。
なにしろあたしは、“限定”というのに弱いんですね。つい買ってしまった。
では内容を採点しよう。(3店満点、3おいしい 2標準 1まずい)
ネーミング1;「なにわ」だけのシンプルなものがよい。なにかこびている
パッケージ1;食欲がどうもわかない。

内容
炊き合わせ① 人参3 牛蒡3 蓮根3 結び昆布3 牛蒡は堀川牛蒡のような太さと香りあり、濃いめの味が染みている。高山牛蒡ではないと思うけど。蓮根も分厚く、歯応えもいい。
うーん、JR東海パッセンジャーサービスなかなかやるじゃないか。味が濃く、酒が飲みたくなり、お茶で通すつもりが酒を買う。
炊き合わせ②
芋3 タコ3 南京2 大阪おなじみ芋、タコ、南京。小芋は味わいよく、タコも予算案都合上小さいが、食感がよい。南京はもう少し柔らかくしてもいいのではないか。
炊き合わせ③
椎茸2、インゲン2、大根1、いずれもきちんと炊けているが椎茸はかなり味が濃くご飯が進む。大根もとの味が淡い分、人工的うまみが強い
串カツ2 冷めた串カツとしては健闘。しかしパッケージに「串カツソース漬け」と書かれているのだが、三分の一しかソースにまみれておらず、残念。
たこ焼き1 たこ焼きであったという面影はどこにもない。かつて水了軒「御堂筋弁当」(今でも大丸梅田店地下食料品売り場で買えるらしい)に入っていた、たこ焼きの技術をまねてほしい。
玉子焼き1 甘過ぎうま味あり過ぎ。京都とは違う大阪の玉子焼きは、こんなに味が濃くはない。
イカ団子1 やはりこういう味が濃いものになると、人工的な味が際立ってしまう。
さつま揚げ2 味が下品にふってあるところが妙にいい。
焼うどん3 冷えた焼うどんとはいかがなものか? そう思って食べたのだがこれがいいのである。洋食弁当の冷えたナポリタン同様、「わびしい味」である。かつての栄光を微かに忍ばせながら、冷えきっているいじらしさがあって、中々うまいのだ。
ご飯2 かやくご飯2 昆布の佃煮2
結論;全体的に味が濃く甘めなので、1腹を減らして買う事。2酒飲みは、ビールと日本酒両方を買い、おかずによっての見分ける事。3炊き合わせから着手する事。等を守れば、結構楽しめよう。

しかし。
 確かに「なにわ満載」ではあるが、誰でもがイメージする串カツ、焼うどん、たこ焼きを入れておけば、満載だという発想は、実に安易である。
 浪速の味は野菜料理や魚料理にあり、かつて「八角弁当」を食べ、茄子や椎茸、高野豆腐に染みた出汁の味わいや、サバの塩焼きや穴子鳴戸巻きやイカのウニ焼きの確かな味わいに、食い倒れの街の品格と底力を感じた、弁当からの訴えはない。
 そこがすごく寂しい。