さあ前菜は終わった。次は同じ三角地の「ポムサンチブ」に向かう。
「チャドルバギ」である。
薄切り牛肉の焼きしゃぶである、以前来た時は11年前で、ずいぶんきれいになったのね。
前回は1人前140g1800円で今回は2000円と、かわいい値上げである。
肉は薄いが香りがあって、脂は多いが、酢醤油の酸で緩和されて、止まらない。
焼いたにんにくと一緒に食べても、うまいのだな。
ここでもテグタンを食べたかったが、次に行く店が決まっていたため、我慢した。
この店に行く途中で、やたら気になる賑わいの店があったので、そこに行くことにした。
たら鍋の店、「ウォンテグタン」である。
入るなり刺青をしたお兄ちゃんが、辛いの辛くないのどっち? と聞く。
もちろん両方ね。
辛くないのはニンニク入りで鍋汁は味もついていないし、出汁でもない。
辛いのはコチュジャンがたっぷり入って、これも出汁ではない。
野菜やタラから出汁が出るっちゃね。
まずはセリを食べ、もやしを食べ、タラに火が通るのを待つ。
たらの切り身やら白子を食べた後は、雑炊とラーメンにしよう。
辛いのはラーメン、シンプルは雑炊に仕立てるぞ。
鍋奉行のプロである私の出番である。
と思って、汁に塩を入れようとしてら、お姉さんに制された。
お姉さんは鍋に残った具を取り出し、汁も取り出し、そこにご飯を入れて炒め出した。
ああ、むべばるかな、ポックンパプ、つまりチャーハンなのね。
これがまた食欲を刺激して、満腹なのに競い合って食べる。
もちろんラーメンもね。
こうして精進で整っていた我々は、また都会の欲に塗れていくのであった。