私は何を隠そう(隠しても意味がないが)、「コンビネーションサラダ研究家」である。
それゆえに洋食屋に行くと、必ずコンビネーションサラダを頼み、研究する。
洋食屋以外でも、トンカツ屋、喫茶店、カレー屋、居酒屋などで見かけると、必ず頼む。
「1野菜鮮度、2種類、3ドレッシングの味、4野菜の味と香り、5バランス」といった各項目を点検し、研究結果を積み重ねている。
なぜならコンビネーションサラダは、洋食屋における日陰の花だからである。
頼む人は少ないだろう(他の客が食べている姿を滅多に見ない)。
それなのに、メニューに載せる。
だからコンビネーションサラダは、出番をじっと待つ事となる。
いじらしいではないか。
「あの店はコンビネーションサラダがうまいよね」。「今度コンビネーションサラダのおいしい店に連れてってあげるよ」。とは、誰も言わない。
それなのに、コンビネーションサラダはいついかなる時も最良の状態で出演できるよう、準備を整えている。
いじらしいではないか。
だから私は頼み、その実績を評する。
しかし先日、長いコンビネーションサラダ歴の中で驚くべきことが起こった。
写真のコンビネーションサラダである。
キャベツ、レタス、ホワイトアスパラ、トマト、きゅうり、ポテトサラダはいい。
だがそこには、異端者がいた。
ピンクのお新香大根の桜漬と缶詰のパイナップルである。
これはいつ食べればいいのか。
サラダの箸休めとしてのお新香と、デザートとしてのパイナップルなのか。
敦賀人はパイナップルが好きなのか。何事にも大根桜漬けがないと気が済まないのか。とびきりのサービスなのかわからない。
わからないが、明らかなのは、野菜類と味が合わないことである。
さらに甘めのポテトサラダもユニークだった。
きゅうりと人参、ハム、グリンピースはいい。
しかしそこに、いちょう切りのリンゴと、細長く切った薄焼き卵が入っているではないか。
ポテトサラダ学会会長として、数多くのポテトサラダを食べてきたが、これまた初体験である。
敦賀「ヨーロッパ軒」おそるべし。
私は何を隠そう
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