ツキノワグマの脂刺し 2017.11.20 食べ歩き , ジビエ Tweet 白き物体は、ブナの実だけ食べてきたというツキノワグマの脂刺しである。 しっかりとした脂は、噛む喜びがありながら、淡雪のように舌の上で溶けて、別れを告げる。 ただ緩く溶けるのではなく、個体としての威厳は残しつつ消えていく。 甘く切ない香りを残して、「さよなら」と囁く。 それは、まさしく熊とのディープキスであり、自我をゆっくりと崩壊させていく。