江戸前の仕事を施した鮨をいただいた。

食べ歩き ,

札幌の方に教わって、この店に初めて来たのは、今から20年以上前だったと思う。
その頃まで札幌の寿司屋といえば、うに、いくら、ボタンエビ、生のアワビ、毛ガニ、水ダコ、鮭、ホタテといった、典型的な北海道の海産物中心で、白身魚や光り物、煮物などは、ほとんどなかった。
煮だこやコハダ、アナゴ、白身魚の昆布締めなどを出していたのは、唯一すすき野の「○鮨」くらいだったのではなかろうか。
赤酢を使った寿司屋もない。
そんな頃に教わった店だった。
誠実そうな若きご主人が意気揚々と握る、江戸前の仕事を施した鮨をいただいた。
「あの頃はうちともう一軒くらいでしたが、今はどこも同じことをやるようになりました」。
当時からヒラメなどは取れていたが、地元の煮付け用として出回る程度で、s時用にはあまり流通しなかった。
それより高値で取引される魚介が多くあったからである。
ところが今は、見事な神経じめをする漁師も現れ、ウニやアワビ、カニだけではない魚にも値がつき始めた。
肝心のカニやウニなどが、以前ほど獲れなくなったせいもあろう。
温暖化でサワラなども回遊するようになったせいもあろう。
一番いいウニやカニ、アワビなどが皆東京の市場にいってしまうせいもあろう。
お客さんが、白身魚や蒸し鮑のおいしさに目覚めたせいもあろう。
しかし、そうした鮨は、やはり以前からやっていた「和喜知」に、分がある。
毎日の仕事を見つめ直し、精査し、全国の寿司屋と知り合い、多くを学んでいる。
20年前の仕事とは、違ったアプローチで、地元の魚を生かしている。
目抜けは、じっとりとした旨味をふくらまし、ホッキやキンキは温めて握り、人肌の酢飯としっとりとなじませる。
どの握りもエレガントで、うっとりと舌の上で舞い、喉元へと落ちていく。
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