旬の歳時記 コーヒー

食べ歩き ,

そのコーヒーは、水のようだった。

雑味がなく、抵抗がなく、さらさらと舌を流れて喉に落ちていく。

「アンドロメダエチオピア」という名前で、野生種のコーヒー豆を、新鮮な状態で煎った豆である。

コーヒー発祥の地エチオピアでは、コーヒーは薬であり、哲学を語る飲み物だという。

一日何杯も飲みながら、生きるとは何かを論じ合う。

恐らく真のコーヒーは、淀みがなく、我々の思惟を天高く、澄み渡らせる飲み物なのだ。