ミルクのアイスを、何気なく食べて、目を丸くした。
なんとおいしいのだろう。
心を柔らかく抱きしめる、香りがある。
聞けば、山奥で二人の若者が乳牛を育てているのだという。
「原始的な山地酪農というやり方で乳牛を育てたいんです」
若者二人が、長野の山奥にある平谷村を訪ねてきた。
村は無償で、二つの山を差し出したという。
二人はご夫婦で、青山大学を出て、酪農を目指していた。
山地酪農とは、植物生態学者である猶原恭爾博士(1908-1987)が提唱した酪農手法で、『山に牛を放牧する酪農』である
牛は本来の性質どおり自らの足で歩き、草を食べ、野外で昼夜通年過ごし、子を産む。
酪農家は、給餌や糞尿処理から解放され、山林や耕作放棄地の草は、牛が食べてくれるので、中山間地域の荒廃をくいとめる。
だが彼らは、9頭しか飼っていない。
それには理由があった。
酪農の仕事は、朝と夕方の搾乳である。
9頭だとそれぞれ1時間かかるので、計2時間搾乳し、残り6時間はカフェをやっているのだという。
彼ら曰く
「日本ではコーヒー豆にこだわってカフェをやられている方は沢山いらっしゃいます。だが牛乳にこだわっている人は少ない。僕らはしぼりたての乳で、この乳にあう豆を合わせて、日本一のカフェオレを提供したい」。
こりゃあ行くしかない。
飯田 割烹「柚木元」のモンブラン。
ベアツリーファームのジャージ牛のアイスとほうじ茶のゼリー。



