また服部に来てしもた。
別れ際に
「今夜はどこで食べるんですか?」と、聞かれた。
しかし
「焼きそば食べに服部に」とは、言えませんでした。
店の名は「赤春園」。
街の普通の中華屋さん
「日本で二番目にうまい餃子」の文字が輝いている。
餃子は290円と安く、肉の味がしっかりするが、
「日本で二番目にうまいか」どうかは、他人の判断に譲ろう。
だが、
ジョッキを凍らせた、キンキンに冷えたビールに合わせると、盛り上がってくる。
それでつい。
「羊肉焼肉ください」。
こいつもキン冷えビールの肴にし ,いよいよ今宵のメインディッシュ、「焼きそば」650円といってみよう。
味の素も入る、醤油味の庶民版だが、味付けが、濃すぎず薄すぎず。 麺に味がすうっと乗っていて、つるつる入る。
味がこなれていて、食べ進むにしたがってうまくなる。
こいつもキン冷えビールでお出迎え。
作るのを見ていたら 茹でた麺を、一回水で締め、ジャーレンにとって湯をかけて
別のジャーレンで挟み込み、水を切る。
しかる後焼きそばに仕立てるのだ。
これがしなやか麺の秘訣なり。
庶民の店でも、 独自の、おいしい工夫がある。
大阪の底力。
大阪商人の心意気。
息子が作り 、お母さんが運ぶ。
息子の動きに無駄がなく 、包丁さばきも正確だ。
カウンター10席に 4人がけテーブル1つだけ。
「赤春園」は、どの町でも見かける、小さな中華屋さん。
そして
「赤春園」は、ここ服部にしかない、中華屋さん。