<駅弁勝負>  第9番

駅弁 ,

<駅弁勝負>  第5番

今日も勝った。
なにがって、臨席の弁当に勝った。
隣のサラリーマンはJREの幕の内1100円、その隣はサンドイッチ、推定800円。
そして僕は、川崎さんが奨めていた「津軽景色」1400円である。
価格ではない。質と味と価格のバランスにおいて勝った。
なにも見ず知らずの人の弁当と競い合う必要は、どこにもない。

しかし父の遺言で「男は何事も勝負」と命じられているので、勝敗にこだわるしかない。
しかも駅弁は、私自身のなわばりなのである。
この「津軽景色」は、川崎さんも書かれていたが、「分けとく山」プロデュースながら、青森の弁当屋が真面目に作っている。
どのおかずも、甘すぎずしょっぱすぎず、かといって薄すぎず、味の抑制が利いている点がいい。
食べていて裏切りがなく、気持ちがほっこりとする。
とくに塩ウニの味がほのかについた玉子焼き、甘めの春菊の白和えがいい。
いわしの蒲焼きも味に嫌みなく、牛蒡醤油漬け、長芋酢漬けにいたるまで気が行き届いている。
シャムロックのつくねは、こんな上品なつくねではなく、もっと肉の味を出した方がシャムロックが生きるとか、スクランブルエッグはいらないんじゃないかという気持ちもあるが、些細な事である。
そしてなによりご飯がいい
醤油炊き込みごはんの味付けは、食べた時はさりげなく、飲み込んだときに後を引く。
JREの幕の内に、たった300円贅沢しただけで、この充足である。
やはり”勝ち”なのだ。