岩永勝敏76歳。
失われた諫早湾の海洋生物と、数々の漁法を記録し、国内外で名誉ある賞を受けた、ドキュメンタリー映像の監督である。
結婚歴5回.いや正確には8回らしい。
そのことを尋ねると、「いやあ俺は結婚も離婚もしようといったことはないんだけどねえ。ははは」と、豪快に笑った。
隣に座る自称5番目の奥さんを、「彼女が一番長い。区間賞だあ」と、また笑う。
天衣無縫の人である。
70を過ぎた頃、自ら運転する車で、正面衝突をした。
複雑骨折をし、駆けつけた女性救急隊員が、「足以外にどこか痛いところはありますか?」と聞いたら、「君を見てると、心が痛い」と言い放った。
瀕死の状況でもスケベは貫く、一徹な男なのである。
18歳から87歳までを口説き、早々とパイプカットをしたが、女性から子供ができたと言われると、何も言わずに金を工面した、優しき男でもある。
昨夜も、そのスケベぶりは絶好調。同席の女性がダイビングの話をしていると、「君のハートの中を素潜りしたい」。
油絵が玄人はだしらしく、絵が上手いと褒めたら、「絵だけじゃありませんよ。接吻も上手いよ」
昔。 ゴールデン街の入り口にタバコ屋があって、87歳のおばあちゃんが店番をしていた。ヒマそうだから口説いた。
一週間後に行ったら、「なんでこなかったの」というおばあちゃんは、化粧をしていたという。
宵越しの金は持たない。借金踏み倒し多数でも、恨みは買わない。
今読んでいる本は、小林秀雄の「直感の磨き方」。これ以上磨いてどうするんですか。
好きな言葉は、瀬戸内寂聴の「自由とは自らをよしとする」
そして座右の銘は、
「やっちゃいけないことをするのが、人生だ」。