山がくる。

日記 ,

まず、 
流れの印を記したのぼりが見え、 
年配の方や子供たちの先走りが続く。 

「おいさ。おいさ」。の掛け声に水しぶきが舞い、 
「おいさ。おいさぁ」。と、響きは、次第に凛々しく渡る。 
そして山がくる。 
舁き手は勇猛に舁き、走る。 
水法被に締め込み姿に血が走る。 
「おいさ。おいさ」。
4分弱の舁き走りに、男を磨く。 
男であることだ。 
雄という本能をあらわすことだ。

暑き博多の早朝に、鳴り上がる雄の声。 
初めての追い山が 
いまだ頭を巡っている。