天然ウナギ食べ比べ

食べ歩き ,

天然ウナギを、川違いで十種類、養殖ウナギを五種類ほど、食べ比べてみるという、おそらく二度とできないだろうこの蛮行は、多くの示唆を含んでいた。
香りが違う。
海ウナギは海藻の香りがして、川ウナギはそれぞれに、小エビや貝やら、草の青い香りのするやつもいる。
皮の硬さも弾力も厚さも、身のきめ細やかさも違う。
逆に養殖を食べると、慣れた味わいに心がホッとするほど、天然ウナギは個性的で、野味に富み、「食べ比べ」なんて人間の浅はかな思いを超えた、謎が渦巻いている。
自然の怖さと不思議を、たっぷりと我々に突きつけるのであった。
「俺らは5千万年前より生息しているんだよ。お前らホモサピエンスなんか、たかだか4〜50万年前だろ。赤ん坊さ」と、言う。
それらを先人たちは知っていたのだろう。
「我々の知らない中で、ローマのうなぎが蛇と番であることは、みんな知っている。ある人によると、うなぎは、熱情に駆られ、欲望を抑えられず、番を探しに海に出て行く」と、ローマの詩人は書き残した。
アリストテレスは、「うなぎは地殻の泥から生まれる」と説いた。
古代ローマの博物学者、大プリニウスは、「ウナギは体を岩にこすりつけ、こそげ落ちた一部が子ウナギになる」と、記した。
17世紀の英国随筆家アイザック・ウォールトンは、「5月と6月に降りる特別な露から、ウナギは生まれる」と書いている。
おいしいのだが、どこかミステリアスで怖い。
誠実でイケメンだけど、氏素性がわからず、ワルの片鱗も感じられる。
我々は、そんな男に憧れやすい女子の心理に似て、鰻に魅せられてきたのかもしれない。

そして! さらに嬉しい発見。
1七本槍の各酒が、ウナギのそれぞれの味わいと溶け込んだ、喜び。
2焼き鳥屋き名人は、ウナギを焼いてもウナギ焼き職人以上にうまかっら事実。
3おっくんのウナギカルボナーラ。黄身の緩さにセンスがあった。
4難波さんのウナギ握り、酢をわざと効かせて、ウナギの脂と強調させた。
6翌朝のウナギ肝、酢飯茶漬けの美味しさよ。