食べ歩き , 日記 ,

唇に触れると、幼児の頬のように暖かく、無垢な弾力に心が微笑む。
噛めば凛々しく、俺は餅だぞと粘り、伸びながら、ほんのりと優しく甘い。
ふわりと歯を包みこみながら、餅としての根性を主張する。
なにもつけずともそれだけで、おいしい。
いや、なにもつけたくなくなる餅である。
そんな餅は、無添加であるから、この冷気に置いていてもすぐカビが生えてくる。
餅はカビるものなのである。
カビこそがおいしい証であり、「ありがとう」と呟きながら、カビを削る。
「今年もいただきたいんですが、購入できますか?」 そう聞くと
「売っていません。買うもんではなく、上げるものなのです」と送っていただいた。
知人の親戚が作ってくれた、名もなき餅