初ロバである。
いや正確には、以前「ダオルモ」で「初ロバ煮」はいただいたので、「初ロバ焼」である。
ロバに近いとい動物といえば、馬だろう。
レアに火入れした感じでは、その赤い色合いといい、馬肉赤身（ロースやヒレ）のしなやかさに近い。
しかし馬ほど鉄分を感じないのである。

温暖な土地柄で、愛されながら成長した、坊ちゃん育ちの馬肉という気配がある。
さらに焼くと、今度は牛ヒレ肉の手応えが見えてくる．
食感が焼いた牛ヒレに近いが、噛み締めてもやはりほのかに甘いという味わいで、血感がない。
お上品なうま味を、じんわりと舌にのせてくるのである。
一方脂は、馬のフタエゴ的なクリッとした歯応えと、その下のコラーゲンのしたたかな甘みがあるが、馬ほどではない。
じんわり、ゆっくりと甘い。
ロバの顔のように、とぼけて茫洋とした、のんびりとした味わいといおうか、のたりのたりと歩んでくる甘みに、ほのぼのとするのである。