仔羊より豚肉や牛肉

日記 ,

仔羊より豚肉や牛肉。
以前ほど仔羊に執着しなくなったのは、なぜだろう。
おそらく、想定内のおいしさしか得られないと、思い込んでいるせいではないかと考える。
しかし去年より子羊事情が変わってきた。
フランス産の輸入がようやく解禁されたのである。希少なロゼール産の仔羊には、いたいけな歯応えがあって、噛んではいけないものを噛んでしまったような、禁断の美徳がある。
緻密な肉を噛むと、歯が優しく包まれ、ゆっくりと肉汁が現れる。
そこには拙さを携えた甘みがあって、巧みに酸味を忍ばせたソースが持ち上げて、エレガンスを漂わす。
いつまでも噛んでいたい。噛んでワインを飲み、仔羊の命に感謝をしたい。
鷦鷯シェフの精妙なキュイソンと、仔羊に対する敬意が生んだ逸品である。
神戸「グラシアニ」にて。