ミシュラン上陸2

日記 ,

メモ

1、「日本料理が分かっていない」。
そもそも「わかる」、理解するとはなんだろう。我々日本人でさえ理解しているのか。
食べるたびに考えさせられる。日本料理は分かることを求める料理ではない。
おそらく「三ツ星よりうまい店がある」。「なぜこの店が二つ星?」。という疑問から生まれているのだろうが、そもそもミシュランの判断基準が、ガイドブック内の三ツ星店の説明文で、明確になされていないことによる混乱である。
しかしあえて避けたのであろう。確信犯なのである。それに対して声高になってしまっては、策略に乗ってしまう。
いずれも茶事に精通した懐石料理店、二つ星の神楽坂「一文字」と、無星、無掲載の赤坂「辻留」。 二店とも比類なきおいしさ。いまのボクには、この二つを比較し、ランク付けることなど到底できない。

2、「フランスワインを置いている和食店が優遇されている」。
フランスワインや高級食材の輸出拡大という別の側面も、本の刊行には隠されている。ゆえに、しかるべき判断である。

3、「イタリア料理店、中華料理がなぜ少ない」。「天ぷらや鰻がなぜ少ない」。
当初の編集方針で、準備期間の少なさを考慮し、「フランス料理、日本料理、すしだけは充実させる」という決定がなされたのであろう。すしは、同じ江戸文化の天ぷらや鰻、そばに比べると、グローバルであり、クールジャパンの代表。
この三種料理以外は、批判があろうと軽視する、という編集方針であるから、「福臨門」や「龍天門」。「アッカ」や「ヴォーロコズイ」、向こうで一つ星をとった「グラディスカ」、「重箱」が、なぜ入らないなどと言っても、上滑りするだけである。

4、「焼肉、焼き鳥、韓国料理や各国料理はなぜ入っていない」
おそらく、上記理由による。

5、「星つき店がなぜ150店舗とキリがいいのか」。
ミシュラン東京版は、食のガイドブックではない。ミステリー小説なのである。我々の脳細胞を活発化させる本なのだ。意図か偶然か。

三ツ星の倍数。フランス全土より少なくパリより多い数?   わざとキリのいい数字にして、

謎を深める。などなど、考えるべし。

6、「日本料理は多すぎないか」
ニューヨーク「マサ」など、世界のレベルの低い和食店とレベルを合わせると、多くなってしまうのは自明の理。それは当初から覚悟していたことだろう。

また世界の三ツ星店を巡る人たちで最も多いのが、アメリカ人や日本人であることを考えれば、彼らにこの本を多く売り、ブランド付けを計らねばならないのという事情も重なる。 ゆえに星をサービスするのは、至極真っ当である、と考える。

7、「なぜ鉄板焼きが」?
 上記アメリカ人理由で明白

8、「料理の説明にばらつきがある」
例えば235ページの「ひろ作」。説明が明快で非常に分かりやすい。例えば三ツ星「濱田家」はほとんど料理の説明がない。レベルの異なるライターの使用(知り合いに書いた人はいないので、今までまったく料理のことを書いたことのない人中心だろう)。

調査員による文とまったく食べていない人が書いた両方がある。または濱田屋を推した理由を曖昧にしたかったため、明文化を避けた。様々な憶測がたつ。

9、「なぜ『旬』と『こだわり』を大安売りしているのか。

この質問者は、三ツ星「かんだ」(ちなみにミシュラン上では神田、いつから漢字表記になったのか)の説明文。冒頭の~食材を吟味し、季節感を大切にする『神田』。春なら鯛に鰹、初夏には鮎、鱧、鰈。秋には鮪に鯖。冬には平目や鮟鱇と、旬の魚介を旬の味わい(?)で食する悦び。~ を読んだのではないか。

『神田』を別の名前に変えても成立する文章である。主人に聞いて、当たり障りの無いことしか引き出せなかったライターが、そのまま書いたのだろう。

ゆえに「旬」と『こだわり』、そして『季節』を多用したのであろう。だって楽だもの。まともな編集者なら即書き直し。

 

10、「日本語的に不適格な文章あり」。
221p万歴龍呼堂「料理は東京の和食店」。
185p「白焼きは、さっぱりとわさび醤油で味わう」(さっぱりは、風呂浴びてさっぱりとした。食べて口がさっぱりとしたなど、体験後の気分の状態を表す言葉。また、白焼きをわさび醤油で食べて、ボクはさっぱりしない)など、赤を入れたくなる。

11、「どうもフランス人目線は、我々を下に見ているようだ」
従来のコンプレックスが現れた発言。もしくは、7P 「東京版の刊行は、ミシュランガイドのコレクションにアジアが堂々と仲間入りしたことを意味してます」。
の記述から発生した疑い。悪気はないのだろうが。マーケティング上もう少し日本の機微を学ぼうよ。

12、「冗談としか思えない記述がある」。
「礼に始まり礼に終わる」という剣道の信条どおり、店主はとても礼儀正しい。
青山「海味」の書き出し。 あの「いらっしゃいっ。いらっしゃいっっ!!」
の過剰なまで威勢のよさの連呼が、彼らを感動させたのか。
いや、これはフランス人の皮肉であろう。