滋賀 余呉 徳山鮓

フランス料理のエスプリ。

食べ歩き ,

同席したのはおっさん3人だったが、もし女性がいたら口説いていたかもしれない。
この人が作ると、途端に料理がエロくなる。
なぜ和の食材なのに、フランス料理のエスプリで満たされるのだろう?
徳山鮓の食材を使って、高良シェフが料理を作ったら、どんな料理が生まれるのだろうか?
そんな疑問から無茶ぶりをした。
徳山さんも高良さんも快く受けてくれ、希少な会が始まった。
ミキュイに加熱した琵琶マスに、発酵させた米のソースを合わせる。
芹の白和、春菊のソース 、焦げ香のするチュイールを添える。
しなやかに口の中で崩れいく琵琶マスと、米ソースの柔らかで練れた酸味が抱き合う。
瞬間白ワインが飲みたくなった。
ソースによって琵琶マスは、そのオレンジ色の旨みと脂の甘みに色気を灯し、舌を弄ぶ、
何かいけないものを食べているような感覚がよぎる。
そこへ白ワインを流し込めば、陶酔がじっとりと膨らんでいく。
次のリゾットもいけない。
大変危ないリゾットである。
焼いた子持ち鮎に熟鮓リゾットを合わせ、アネットを忍ばせ、クレソンを添えてあった。
口の中で複雑な酸味と米の甘みが溶け合って、カーブを描く。
子持ち鮎のほのかな甘みでさえ、いやらしくなって、官能を刺激する。
熟鮓が米が子持ち鮎がこんな表情を見せるのか。
白ワインが恋しくなる。
食べるたびに発情を呼ぶ。
和の要素を使っていながら、まったく和の存在を感じさせない。
ジュラ地方にこんな料理があるんですと言われたら信じてしまいそうな、エレガントなフランス料理なのである。