ハッシュドビーフ・ウィズ・ライス(Hashed beef with Rice[4])が「ハッシ・ライス」あるいは「ハイシ・ライス」となり、それが訛って「ハヤシライス」となったと言われている。
言語学者の楳垣実は自著の中で、古語(および古語の影響の残る方言)で「こまかく切る」という意味を持つ「はやす」という動詞を取り上げ、英語のハッシュド (Hashed) がハッシ・ハイシなどと訛った上で、「はやす」との意味の類推から「はやし肉」と合体したのではないかとしている。
丸善創業者の早矢仕有的(はやし ゆうてき)が作った牛肉と野菜のごった煮に由来するとする説。『丸善百年史』に掲載されている説である。
医師でもあった早矢仕が作った滋養の強い入院食説、丸善で働く丁稚に対する夜食説、明治初期に早矢仕が友人に振る舞った料理という説がある。
食文化研究家の小菅桂子は、宮内省大膳寮初代厨司長(戦後は宮内庁大膳課主厨長)であった秋山徳蔵が考案した宮内省版ハヤシライスが元祖であるとしていた。秋山の料理は東欧料理のグヤーシュをベースとして創作されたもので[注 2]、これが上野精養軒のコックであった「林」に伝わり、「ハヤシライス」という名で世に広まったという説である。