期待をはらんだ希望と、変化に戸惑う不安。
ドッグイヤーと呼ばれるデジタル技術の急進化に、相反する思いが交差する。
伊知波氏はそんな思いを受け止めながら、様々な事象や角度からデジタル技術と人のかかわりあいに触れ、新技術を使うとはどういうことなのかという主題に迫っていく。
9/11、イラク戦争、ピカ中、ギャル文字、ブエノスアイレス、西表島の信号機、ペヤングソース焼きそば、日本のクールカルチャー、モロッコ、ピカソ、カタカナの国際性、コンテンツ産業の伸長度、田代まさし、インドネシア、カブトムシ、食肉の安全性・・・。
すべてにデジタル世界への示唆が潜んでいる。
講演に参加したきっかけは、今後デジタル世界はどうなっちゃうの? という興味からである。
しかし氏がいうように、未来は新技術を使う側の目的や態度で決まるのだ。
国民をあげてデジタルの訓練をし、ユビキタスが素直に発達していくこの国で、デジタル技術のパンクを作り、音楽ビジネスの明日を生み出すためには、懸命に空想を重ねなければならない。
命がけで一ビットの光を灯すホタルに負けないためにも。
そんな責任を痛感させ、勇気をいただいたセミナーであった。