コキールは、どうやっても巻くことはできない。
それなのに「コキール巻」とは、どういう料理だろう。
他のものを頼むつもりが気になって、思わず頼んだ。
固めに作ったホワイトソースで、何か具を巻き込んでいるのだろうか?
あるいは、巻き寿司の酢飯がホワイトソース味なのか?
さまざまに想像を膨らます。
現れたのは、細長いコロッケであった。
真ん中が切られ、ホワイトソースが見えている。
なんだカニコロッケのようなものか。
しかしどこが「巻」なのだろうかと、食べ始めて合点した。
豚肉の薄切りでホワイトソースを巻き、フライにされているのである。
ホワイトソース、つまりコキーユには、マッシュルームと粗切りにした茹で卵が入っている。
つまりホワイトソース、豚肉、茹で玉子、フライという、洋食界のスターが集結しているのだから、これはうまい。
何もかけなくとも十分だが、ソースをかけると下品が膨らんで、ご飯喚起力が一気に増す。
よくあるように、まかないが正式メニューになったのかもしれない。
しかし意外に思いつきそうな料理なのに、ここにしかないのである。
金沢の洋食は、やはり面白い。
グリル中村屋にて。