クイうまし.。
クイの丸焼き。はたしてお味は
人は鶏とウサギの間だと言う。
またある人は、カエルに似ているとも言う。
可愛い足を残すモモに齧りつけば、そのどれもが近いが、どの表現もあっていないことに気づく。
丸ごと串刺しにして焼かれたクイは、皮は薄く香ばしく、身はしっとりとしてほのかに甘い。
鶏肉に似ているとも言えるが、まず、似ているという表現がクイに失礼である。
クイはクイでしかない孤高の美味を持っている。
鶏肉より繊維が細く、しなやかなため、なにかいけないものを噛んでしまったような感覚がある。
この禁断の魅力に心が焦らされる。
つたない食感に、精神の支柱がしなりだす。
そしてゆるゆると滋味が滲み出してくるのである。
調味をしすぎたくない淡味の美学があって、それがまたこの肉の品を極めている。
ああ、クイうまし.。