キューバは、明らかに様子が違っていた

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キューバは、明らかに様子が違っていた。
各国で飛行場に着陸する機外に見えてくるのは、海、山、森、道路、家々、農地である。
しかしキューバは違った。
このうち農地が、極端に少ないのである。
どこでも不時着できますよと言わんばかりに、木々も映えていない、ただの野原が延々とある。
降りて、車で走ってもそんな野原が周りに永遠と続く。
しかも草の背が低く、土が見えている野原もある。
これは飛行場の周囲だけなのか? なぜ畑にしないのか聞いてみた。
理由はいくつかあるという。最も大きな理由がソ連の崩壊である。
キューバでは、スペイン統治時代からの伝承で、サトウキビを沢山育てていて、その産物である砂糖を、ソ連が買い上げてくれていた。
買い手に困らないどころか、キューバでは作っていない、もしくは、少量しか作っていない食物を、超安値で輸入できた。
サトウキビ以外の利用としては、牧畜である。
これもまた、ソ連が高値で買い上げてくれる。
ソ連の庇護のもとに続けてきたキューバの農業は、崩壊後一気に不全となる。
サトウキビも牧畜も国際価格競争価格と品質に負けて売れない。
輸入してきた食品も国際価格という、今までの倍以上の価格で輸入しなければならない。
二重の苦しみがのしかかって経済が窮する中、サトウキビ栽培と砂糖製造は行き詰まって減少していき、また牧畜を続ける資金も尽き、売れないので国内で全部食べてしまう。
こうして、放棄された牧草地帯とサトウキビ畑の死骸が累々と残ることになった。
政府は別の食物への転換を進めるのだが、深刻な灌漑問題と、いくら働いても賃金は同じなので、サトウキビのように簡単に育つ作物以外の苦労をしようとする人が現れないといった労働意欲の問題が続き、結局野原があちこちに残されるのである。
またサトウキビは土地の栄養を吸い取る植物なので、サトウキビ畑の跡地は酸性土になって、耕作に厳しい。
その為、今政府はその場所をまったく逆の性格を持つ植物である、豆畑への転用を進めているという。
ただそれも、田舎からハバナに出たがる人がいて、難航しているという。
田舎出身者は、許可なくハバナで働くことが出来ない法律はあっても、闇で多くの人がハバナで働こうと上京してくる。
その上、キューバは去年から深刻な水不足にも見舞われている。
年間雨量が減っていることに加え、観光客も激増して、市民が使える水が不足しはじめている。
なにしろ山が一つしかない島であるから、元々水が少ない上にこの状況が続いている。
「今年の夏は、週に四日だけしか水が使えないということになるかもしれません」。そう言って、ガイドは、とても悲しい顔をした。