「オムライス下さい」と、いうと、
「はぁい」と、甲高くも丸い、おばはんの可愛い声が返ってきた。
「おおきに」。その後を、ゆっくりした口調でつなげる。
「チロル」は、三角巾をかぶったおばちゃんが二人で営む、喫茶店である。
楕円の皿におさまったオムライスは、包み型ではなく、かぶせ型であった。
それゆえに、ライスとの接地面が半熟ではないという心配がよぎったが、食べれば半熟、オジサンは大いに喜んだのである。
さらにこのおばちゃん、炒め方がうまい。
チキンライスがパラッパラで、ケチャップ色が濃いのに味はうっすらで、ケチャップをつけてちょうど良い塩梅になる、
嬉しくなったオジサンは、ハムカツ単品も追加してしまった。
現れたハムカツは、ハムでなくソーセージを使った、正当な名前詐称のハムカツで、ウースターをかけたオジサンは、いっそうニコニコ顔になるのであった。
勘定をすれば、ハムカツは百円。嬉しいねえ。
今度は名物カレーかドライカレー、タマゴサンドを食べようと、自分に誓うオジサンであった。
京都にて。