ウズラが

食べ歩き ,

ウズラが歯と歯の間で、くたりとしなった。
焼かれたウズラと違って、小さな鳥としてのかそけき歯応えがある。
弱々しくも懸命な味わいがある。
さらに噛みしめると、凛々しい鉄分の味が、こっそりと滲み出てきた。
そこには、おばちゃんシェフのラケル・カレナさんが、自分の子供のように手をかけ、心を砕いて仕上げた深さがある。
骨を持ってしゃぶっていると、思わず涙が出そうな優しさがある。
こうしてウズラの滋味は、酢のまあるいうまみと玉ねぎの甘みとともに、僕らの体の中に陽だまりを作る。
パリ20区 「ル・バラタン」
ウズラのエスカベッシュ。