500円と1500円のカレーライスを比べて、1500円は500円の3倍美味しくないといけないという人が稀にいるが、それはナンセンスだということを、多くの人は知っている。
その「倍」という感覚を取り除いたとしても、500円より1500円の方がおいしいということも意味がない。
しかし1500円のカレーは500円とは違い、やってはいけないことがある。
カレールーを皿に注ぐとき、ご飯の上に垂らしてはいけない。
もし仮に垂らしたとしたら、一から盛り直さなくてはいけない。
そういう意味でこの1500円のカレーライスは、食べる前から気持ちを萎えさせて、すごく悲しかった。
最も500円のカレーは逆に、ご飯に少し垂れている方が萌える。
だから僕は、「今から食べるこのカレーライスは、500円なのだ」と、自分に言い聞かせながら食べたのだった。