成田空港に着くなり、和食が恋しくなった。
先週末、金曜の夜から月曜の朝までグアムにゴルフに行ってきたのだ。
たった2日半の旅なのに、和食が食べたくなるなんて、ずいぶんヤキがまわったなあ。
しかも、ホテルの朝食は三日間納豆ご飯を食べたというのに。
いやそれがいけなかった。
まずい白米を食べていたがゆえに、和食欲求が湧き上がったのだ。と思うことにした。
どこにするかなと悩み、「だし茶漬け」の店にひかれたが、こういう時には出し茶漬けではなく、茶漬けである。
ここは無難に「そじ坊」に決めた。
普段はお願いされても入らないが、今は後光が差している。
無難に「ざる」。
750円高い。
おろし金つき生わさびに原価を集約させたのだろう、そばもつゆもなさけない。
しかし。
「ずるずるっ」とそばを手繰れば、体中に開いた欲求不満の穴が埋まっていく。
隣の中国人のおばさんは、練りわさびを頼んでいる。
生わさびの刺激が耐えられないのだろう。
練りわさびをつゆにたっぷり溶いて食べている。
嗜好に正解なし。
保守も革新も正しい。
しかしぼくは、貧乏根性丸出しで、5センチほどの長さのわさびを全部すりおろし、
つゆに溶かし、そばになすり、辛い辛いと涙しながら蕎麦湯で閉めて、ようやく心が落ち着いた。
落ち着いたのだが、不満の穴が全部埋まりきっていないようで、しょうがない奴だなあと悪態をつきながら、出し茶漬けの店に入り、出汁をかけずに、刻み菜漬け茶漬けを食べた。
僕の食い意地はいつまでたっても、大人になれない。