うざく

食べ歩き ,

うざくという料理がある。
焼いた鰻と胡瓜を合わせた酢の物である。
この料理の主役は鰻ではない、胡瓜である。
もちろん鰻は見事に焼かれている。
地やきで腹側をよく焼く店が多い中、皮側を8割、腹を2割焼いたという鰻は、皮がパリンッと、香ばしく弾ける。
魅力は、痛快な食感だけではない。
皮下のコラーゲンと筋に、しっかりと火が入っているからこそ、対をなす肉がおいしくなるのである。
そして主役の胡瓜である。
作る様を見ていると、親の仇をとるかのような勢いで、揉みに揉む。
徹頭徹尾、揉み込んでいく。
そうして初めて胡瓜は、真価を発揮する。
ザクッ。
歯と触れた胡瓜は、痛快な音を響かせる。
ザクッ。ザクッ。
歯が喜んでいる。
余分な青くささは消え、胡瓜に眠っていた、勇壮な歯応えだけが炸裂する。
胡瓜は揉まれることによって、命を吹き込まれたのだ。
京都「浜作」にて