「はぁ〜」。スープを一口飲んで、ため息一つ、まろび出た。
澄んでいる。
味わいの深さの中に、丁寧に出汁を取られたことを証明する味の透明さがあって、しみじみとうまい。
「ブンボーフエ」。フエ市の牛肉麺である。
13区にある増井千尋さんお奨めの「Ngoc Xuam Saigon」で、いただいた。
ベトナムや東京で食べるような辛く赤いスープではなく、透き通っているが、
ホ−チミンや東京とは違い、うまみ調味料を感じさせずに、すっきりとしている
だからスープをいくらでも飲んでしまう。
生もやしとレタス、香菜をどさどさと入れ、ライムを絞り、少し唐辛子を入れ、無我夢中で食べ進む。
ズルルと麺をすすり、ズズズとスープを飲み、牛肉の薄切り(ツラミ肉か? 外腿か?)、豚バラ薄切り、ベトナムハム、豚足、玉葱などを、合間で齧り、一心不乱に食べ進む。
スープは牛と豚の肉や筋と骨、レモングラスやニョク・マム、発酵させたオキアミのマム・ルオックだが、あまりレモングラスやニョクマムの味は出ていない。肉のブイヨンの味が主流である。
だから止らない。麺を食べ、具を食べ終えてスープを飲む。もうお腹いっぱいだからこれが最後のスープねと思っても、スプーンを置いた瞬間からまた飲みたくなる、そんなスープなのである。
一杯9€30 約1200円弱。東京に比べれば高いように感じるかもしれないが、
このスープを取ることを考えると、真っ当な値段だと思う。
右隣は、明らかにベトナム人と思われる20代女性二人で、フランス語。
左隣は、ベトナム人らしい20代男性二人で、ベトナム語。
その隣は、イギリス系らしい30代白人女性と黒人女性で、なぜか広東語(おそらく)で話し合っている。
うむ。さすがパリ。
「はぁ~」
日記 ,