《洋食おがた ミーツ サスエ&サカエヤ》VOL6
サワラは恥じらっていた。
白い肌を少し赤く染めて、「わたしってどう?」と聞いてくる。
箸をつけるのがためらうようなお姿である。
心の中で、「たべるよ。いい?」とつぶやいて、箸を刺し入れた。
あああ。
品のある、春の陽だまりのような甘みが、ぽとりと落ちた。
生を感じさせるしなやかな食感がありながら、香りを膨らませている。
命の躍動を残しながら、火が通って、甘みを増している。
フライにされてもなお、サワラの繊細が伝わってくる。
それは緒方さんの敬意なのだろう