〈ねぎか汁の魔力〉
今朝は、某割烹より、上等なカツオの端切をいただいたので、「ねぎま汁」ならぬ「ねぎか汁」を作った。
鰹節をやや利かせた昆布鰹の出汁を70度位にして、鰹を入れてから味噌を溶き、ネギの小口をたっぷりと入れた。
臭みが少し出るかなと思ったが、微塵もない。
我ながら火の通りが優しくいって、ふんわりと身が崩れていく。
なによりも、鰹の脂が溶け込んだ味噌汁が、たまらない。
深く心を包み込む。
「ああ、おいしいなあ」と、何度もひとりごちた。
血合いの酸味も溶け込んで、味噌汁の味に陰翳をつけ、しみじみと体に染み入っていく。
途中で挽き胡椒をし、後からは辻田の七味も入れてみる。
刺激を受けた汁は、一層太い味わいとなって、胸に迫ってくる。
実はこの汁を、初めて飲んだ。
長く生き、様々な料理をいただいてきたつもりだが、まだまだ身近には、未知のおいしい料理がある。
それが、この上なく嬉しい。