真面目な人なのだろう。

食べ歩き ,

真面目な人なのだろう。
厨房を見ていると、誰もよりよく動いて、料理を作っている。
三つ星シェフとしての威厳が、いい意味でない。
料理前も挨拶に来てくれ、終盤でも、あと20分ほどでビルバオに移動しなくてはいけないからと、挨拶に来てくれた。
そして本多シェフと話が弾み、別の肉料理を食べ終えた後なのに、「鳩も食べないか」と、違うコースの小鳩料理も出してくれた。
他のすべてのテーブルを回って、物腰柔らかく挨拶して回っている。
料理は、人柄が出る。
真面目というのは、一つの才能で、料理にも現れる。
料理の姿は、革新的で、提供の仕方も、調理法も組み合わせも今までにないものが多い。
しかしすべての皿から伝わってくるのは、主食材の太い声だった。
蟹は蟹以上に蟹らしく、茸は茸以上に茸らしく香り、凝縮しながら透明感のある味で口の中で膨らんでいく。
伝わってくるのは、エネコシェフのそれぞれの食材に関する愛情であり、食べる人の心の動きを考えた、思いやりであり、料理が楽しくてしょうがないんだという、情熱である。
だからそれぞれの料理は、今までと違うたちをした突飛性があるが、考えることを強いない。
食べて味わって素直に、美味しさが広がっていく料理なのである。
食べ終わって思う。
エネコシェフ自身が好きになった。哲学や普段の生活に興味が湧いた。
言葉がうまく通じないので、わからないのだが、2時間でも3時間でも話したくなった。
職人なのである。
真面目で一徹な職人なのである。
そいう人の作る料理は、清い。

10・9「アスルメンディ」料理の感想はまた後ほど書き込みます。
1. ピクニック:フォアグラピーナッツ、ハイビスカス、塩味(アンチョビ)ブリオッシュ、シードル風味のチョリソ。
2. 厨房にて、卵黄とトリュフ ベルモット
3. グリーンハウス・ミントなどハーブ風味のアップルサイダー、スペイスコルネ、ハーブ風味のクワハーダ、カイピリーニャなど
1. 秋の葉 バジル
2. 展望:キノコのプラリネ、クモガニのボンボン、海のチャコリ(シーウィード)、レモングラス(フォアグラ)
 クモガニのボンボンが凄まじい。小さなボンボンの中にかのすべてがいる。
3. エビのマリネ、トマトジェリービネグレット、レモンと生姜のグラニテ
 強いて言えば、締まった肉体の甘エビ。とろんと甘いながら、身は閉まり、色気で魅了する。トマトジェリービネグレットにもエビの風味、グラニテの酸味が引き締める
4. キノコのアヒージョ 卵の天ぷら
 凝縮したキノコの風味
5. グリルロブスター。コーヒーバター、Zalla産パープオニオン。
  これまたすべてがロブスター。細いスティックもエビ、ソースもえび。左の花の下のマヨネーズもえび。そして凛々しいえび
6. ぶどう風味の小いか。海藻のソース。アイオリ・エマルジョン イカのカリカリ
  ぶどうはなく、おそらくぶどうの木で軽くフュメか
7. インゲン豆と豚肉。豚肉の天ぷら。赤インゲン豆のバスク伝統スープアルビア、かボチャ、インゲン豆、ポワローのスープ球体。トロサの黒豆アルビアを使った伝統料理の再構築。優しい甘米を含んだスープが美味しい。そこに球体状になったスープがなじんでいく
8. ヒメジを三つの調理法で。炭火焼きピーマン、パセリ、豚のブニュエル。
炙りヒメジ、ヒメジの天ぷら、ヒメジの軽いフュメ。中でも軽く炙って半生というよりほぼ生に近いヒメジのしなやかさと、ほのかな甘みが美味しい
9. イベリコ豚の喉肉、チーズボンボン、塩漬けした大根
  煮込んだ喉の脇にあるカスタネット部分を揚げて、ソースを絡めた、いわば酢豚的調理法。コラーゲンに富んだ豚肉の甘みとイディアサバルチーズの酸味、塩漬け大根の塩気のバランスが美しい。
10.小鳩 根野菜 なすのソース 炭火焼き人参
 精妙な火入れ。人参の炭火焼香となすソースのほのかな苦味が加わって、野菜味が膨らむ
11.子豚の尻尾のシチュー bermeoアンチョビ
  トロトロに煮込まれたシチューを囲っているものは、豚のコラーゲンか? その食感の対比がいい

デザート
レッドフルーツ、バジルのカリカリ、Etxano産山羊チーズアイスクリーム。チョコレート乳化ソース
ヨーグルトアイス、蜂蜜、バジルグラニテ、5つのスパイスパンケーキ。
チョコレートアイス、カカオ、ピーナッツ、甘草スポンジ
いずれも巧みに香りの共鳴が計算され、アイスの溶けない温度などまでが制御された、素晴らしい皿
プチフール