完敗。

食べ歩き ,

久々にすごい機内食に出会った。
完敗である。
どうやっても向上させることはできなかった。
写真手前の前菜は、鶏のグリルの冷製らしい。
「らしい」と書いたのは、ナイフで切ろうとして衝撃を受けたからである。
鶏肉はよほど緊張していたのだろう。
堅くて、ナイフが刺さらない。
仕方なく、一番薄いところを引きちぎって食べてみた。
しかし感じるのは繊維だけで、鶏の味がしない。
ごめんなさいと言って、一口でやめてしまったが、かわいそうなのでレタスをかけて、世間から隠してやった。
奥の写真がメインである。
鶏肉のデミグラソース風風煮込みとパスタである。
鶏は鶏団子であったが、ソースはレトルト臭が漂い、断念せざるを得なかった。
これはバターを入れても無理だろう。
手元のウィスキーを垂らしてみることも考えたが、やめた。
次に、付け合わせのパスタを食べた。
きっと作った方は、清潔好きだったのだろう。
消毒液に似た、ツンとした香りがするではないか。
もはやアルデンテなんかどうでもよく、超越している。
奥のサラダはどうだろう。
トマトとオリーブ問題なし。
細く白いのは大根のツマだろうかと、食べて目をを丸くした。
春雨のミイラである。
揚げてもおらず、春雨を放置して、徹頭徹尾水分を抜いたものであった。
食感はサクポリっとしていいのだが、春雨ゆえに味がない。
ドレッシングがどこかに隠してあるのかと、探したが、結局なかった。
そして添えたビーツは、なぜか甘い
調理した人もビーツを甘くすることに抵抗があったのだろう。
だから中途半端に、甘い。
デザートは、ホワイトチョコレートがけスポンジ、ベリーソースだった。
甘すぎないのはいい。
だがスポンジ生地は、水分を抜け切らせていた。
どんな機内食でも、味変を試み、調味し、なんとかしてきたが、今回だけはどうしようもない。
完敗である。
悔しさを噛み締めながら、クラッカーにクリームチーズを乗せて食べた。
クラッカーとチーズが、こんなにも、しみじみおいしいと思ったのは、人生で初めてかもしれない。
朝食は、「チキン、オア、サンドイッチ?」と聞かれる。
前回チキンで打ちひしがれていたため、サンドイッチを選択した。
写真右がケーキ、左がサンドイッチである。
レタスやトマトが挟まっているのが見える。
野菜サンドかと思い、裏返してみれば、なんとチキンが挟まっているではないか。
もう今日は、チキンから逃れようがない運命らしい。
でも薄切りだから大丈夫と、噛んで、ニヤリとした。
また堅い。
歯が立たない。
恐らく作られた方は、とてつもなく歯が強靭な方なのだろう。
あるいは、噛むという行為のありがたさを、痛感してもらおうと考えたのかもしれない。
もしくは鶏肉に恨みを持つ人の、陰謀かもしれない。
想像してみてください。
柔らかいパンに歯が沈み、トマトが潰れレタスがちぎれる。
だが鶏肉は、頑なに歯を拒むのであった。