この歳になって,ソフトクリームで感動するとは,思わなんだ。
まず、姿を見てほしい。
太い畝が3周ほど回っているが、いかにも神経をそそぎましたと,言っているかのように、美しく、均一に絞り出されている。
そして,スプーンを刺し込んで食べようとしたら、重い。
あのソフトクリームの軟弱さはなく,しっかりとした密度がある。
黒龍大吟醸の華やかな香りがそよいだかと思うと、乳のうまみと甘やかな香りが広がり,濃密な貴醸酒の甘味がかすめ,最後にバニラが口の中へ余韻を残し、消えていく。
ソフトクリームもいいものだけを使い、上級の香りを纏わせ、真剣に作れば,エレガントになる。
そのことを教えてくれた、ソフトクリームだった。
岡田バディシェに感動を伝えると、
「この大吟醸があったからこそできたソフトクリームです」と、軽やかな笑顔を作られた。
昆布さんといい、岡田さんといい。福井の甘味レベルは,高い。